ブドウ畑の向かい、ソール通りがサン・ヴァンサン通り(Rue Saint-Vincent)と交わるところにキャバレ・Au Lapin Agile(オ・ラパン・アジル)はあります。キャバレ(Cabaret)はフランス語で居酒屋。日本で言う「キャバレー」はちょっと意味が変わってしまいました。

 それはさておいて、このオ・ラパン・アジルは1860年にキャバレ・デ・ザササン(Cabaret des Assassins)の名でオープンしました。意味は「暗殺者の居酒屋」とちょっと物騒なネーミング。1880年に常連の画家アンドレ・ジルが手鍋を飛び越すウサギの絵を描いて正面を飾ります。


 そこで「オ・ラパン・ア・ジル(Au Lapin a Gill:ジルのウサギ)」と改名したのですが、絵のウサギの様子から「a Gill」を「すばしっこい」という意味の「agile(アジル)」としゃれを引っ掛けて「Au Lapin Agile:すばしっこいウサギ」という名前になったのです。

 このお店でも常連だったピカソは食事代として道化師(アルカカン)を描いた絵を置いていったということも。今では数千万フランもするシロモノです。その他アポリネール、プールボ、マックス・ジャコブも足繁く通ったといいます。

 ピカソ、モディリアニ、ユトリロが描きとめたア・ラパン・アジル。月曜が定休の他は毎夜9時半からシャンソンのスペクタクルが開かれています。入場とワンドリンクで130フラン。澄んだ歌声と陽気な笑いで今日も夜が更けていきます。







モンマルトルの丘散策ポイント
(所要時間:約2時間30分)